プロアクティブ 口コミからのセレクト!

プロアクティブ 口コミからのセレクト!

どぎついオレンジ色をつけるためにカロテノイドを二二〇マイクログラム、さらに含まれている油脂が腐らないようにビタミンEを二・六といった具合だ。 テレビを見ながら「ラントイェーガー・ソーセージ」をかじっても、ミリグラム、ビタミンをたっぷり摂れる。
肉製品の傑作ともいえるこのソーセージ一袋には、ビタミンCがなんと二〇ミリグラムも含まれており、これは同量のコケモモやパイナップルに匹敵する。 しわを伸ばすビタミンUさんがレバーソーセージと小エビを買っても、まだビタミンが少し足りないかなと思えば、身体の外から補給することもできる。
彼女が化粧品売り場へ行くと、そこにもビタミンがあふれでいた。 化粧品会社のロレアルは、クリームのラベルに、「一度使ってみるともう、しっとり、すべすべ。
お肌が引き締まり、生き生きと輝いてきます」と宣伝している。 なぜ生き生きするのかというと、それはビタミンのせいにはかならない。
同社の配合成分表には、コエンザイムQ10、β-カロテン、ビタミンCとEが並んでいる。 アロエベラ、ルイボス茶、緑茶など、そのほかのラジカル捕捉能のある物質と組み合わせて用いることが多い。

老化によるしわやしみがこういった抗酸化物質の攻撃を受けると、日光に照らされた雪のごとく、あとかたもなく消えてしまうという。 「しわを伸ばし、お肌を引き締めます」と包装に記してある。
「張りのないお肌やしわとの闘いに、新時代到来」ともある。 このような広告は、むろんのこと耳に快い。
連邦統計庁によれば、ドイツにはしわ取りクリームだけで二三〇〇万人の潜在的顧客がいるという。 ビタミン類がすべて、化粧品を買う人の役に立っかどうかは疑問だ。
ビタミンは皮膚に浸透しやすい物質ではないので、化学処理を施す必要がある。 昔の女性はキンセンカの花にラードを混ぜて、植物のカロテノイドを溶けやすくしていた。
そうしておいて皮膚に塗ると、実際に酸化防止剤としての効果があった。 腐りやすいラードのことなど、現代の化粧品産業は当然ながら知るよしもない。
今日ではリポソーム、乳化剤、そのほか無数の物質を使って製造している。 それに、もしラードのような獣脂を使用すれば、その臭いを消さなければならない。
こうして化粧品メーカーは化学物質のカクテルを作っているのだが、それが人体に及ぼす影響は予測できない。 イエナ大学皮膚科のペーター・エルスナー教授の研究によると、成人の約三分の一が、一度は化粧品によるトラブルに見舞われたことがあるという。
その「主要な原因」は、「刺激の強いへアカラー製品や整髪剤」だけではなく、香料と並んでごく一般に使われている、肌の手入れや美白のクリーム、保湿クリームなどである。 こういった化学物質のカクテルには手を出さずに、自然の形でビタミンを補給してほしい。

合成ビタミンの材料は、食欲をそそるとはいいがたいものが多いだけに、なおさらであUさんには、タリアーナはその生涯を慎ましく生きるはずだった。 小さい白い花をつけた、高さ三〇センチほどの目立たない植物であってみれば、やがて人間が自分に興味をもつことになろうなどとは、考えてもみなかったことだろう。
母の日の花束にするには見栄えがしないし、殺虫剤の原料としても効果のほそんな取るに足りない雑草だった。 このように平穏な日々を過ごしていた。
ところが、その生活は一変した。 学名アラビドプシス・タリアーナ、通称「シロイヌナズナ」は、タリアーナは植物遺伝子学者の実験室に新しい住まいを得た。
ポツダムからほど近いゴルムにあるマックス・。 フランク分子植物生理学研究所のA氏が、その理由を説明してくれた。
「この植物は、小型で成長が早く、種子がたくさんできます」一九八〇年代はじめ、タリアーナの遺伝子には約一億三〇〇〇万の塩基対があり、人間の約三〇分の一である。 五対の染色体を持ち、よく増殖し、小型で、遺伝子の構造がわかりやすい。
この粂件が、かつてショウジョウバエの運命を決定したのであった。 この見虫が実験室以外の自然界にいまでも生存しているのかどうかさえ、もはや知る人はいないだろう。
同じ運命がタリアーナにも迫っている。 二〇〇〇年末、科学者がついにタリアーナの二万五〇〇〇個を超える遺伝子すべての解読に成功した。
それでもまだ生き延びるチャンスはあっただろう。 ところが、その遺伝子がいともたやすく操作できることが問題だった。
「アラビドプシス・タリアーナの遺伝子は小さくてコンパクトなので、遺伝子の単離が効率的にできます」と、A氏は説明する。 まるであの愛らしいテディ・ベアのことを話しているような口調だ。

「そのうえ、この植物は形質転換効率が非常に高いのです」つまり、この植物からは比較的簡単な方法で、遺伝子を組み換えた子孫を大量に作ることができるというわけだ。 この変異型遺伝子は、ときとして並はずれた能力を発揮することがある。
たとえば遺伝子を組み換えたバクテリアの助けを借りて、植物油のビタミンE含有量を九倍に増やすことに、研究者は成功している。 こうして、この見栄えのしない植物も、強力なビタミン製造器になることがわかった。
予想外の天然資源がビタミン業界に出現したのである。 タリアーナは繁殖力が強く、雑草なので栽培にも費用がかからない。
その際にビタミン・メーカーは奇妙な方法をとった。 ビタミンと聞くと、私たちはオレンジやキウそれにブロッコリーやニンジンのことを思い出す。
ところが薬品産業はずっと以前から、ビタミン生産に新しい方法を導入していたのである。 ビタミンに食欲をそそるよいイメージがあるのは、やはり果物や野菜を連想するからだろう。
だが多国籍化学企業や巨大薬品企業は、このような天然の材料にはほとんど関心がない。 野菜や果物は高価なので、必要な量を確保するには費用がかかりすぎるのである。
世界中で年間一五万〜二〇万トンのビタミンが生産されている。 そのためには何よりもまず原料が安価でなくてはならない。
新しい方法は安ければよいのであって、必ずしも食欲をそそるものでなくても構わない。 そこで用いられるのがバクテリアや真菌類、それどころかカエルや動物の死体であったりもする。

そのため羊や山羊の鳴き声をもじってビタミン・ベーなどと呼んだりもする。 この人気者のビタミンは主に遺伝子工学によって作られており、タリアーナのビタミンEも同じ方法がとられることになった。
遺伝子を操作して得られたビタミンが人間の健康に本当によいのか、それともリスクがあるのかは、まだわかっていない。 遺伝子組み換えの支持者は、こうして作られた新しいビタミンは天然のビタミンとまったく同一のものであると即座に答える。
だがタリアーナのビタミンEに関しては、この答えは満足できるものではない。 ビタミンEに含まれる物質は種類が多く、それらが植物の中に混在しており、その詳細は科学者にもまだよくわかっていない。
「ビタミンEの含有量を何倍にも高めたとき、その混合比がどのように変化するかはだれにもわからないのです」と、グランドルフの生物学者J氏は危慎している。 タリアーナのビタミンE含有量が九倍になったとき、それが「自然のまま」であると本当にいえるかどうかという問題もある。